亜鉛は、代謝調整作用を有する亜鉛含有酵素(DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、アルコール脱水素酵素、カルボニックアンヒドラーゼ、アルカリフォスファターゼなど)などの構造成分として、種々の生理機能に重要な役割を果たしている。

近年のわが国では、亜鉛欠乏症は、亜鉛非添加の高カロリー輸液施行時、吸収障害を伴う疾患における経腸栄養施行時、亜鉛含有量の少ないミルクや経腸栄養での栄養管理時、未熟児において報告された。欠乏症の主な症状としては、皮膚炎と味覚障害がよく知られており、その他に慢性下痢、低アルブミン血症、汎血球減少、成長障害、性腺発育障害などがある。また、亜鉛と錯体を形成する薬剤の服用によって、体内の亜鉛の利用が阻害され、結果として味覚障害を起こす事例も報告されている。

日本人の成人における亜鉛代謝に関する研究報告がないため、成人の推定平均必要量はアメリカ/カナダの食事摂取基準を参考にして算定した。

男性 11. 18 mg/日
女性 10. 03 mg/日

この値は、体重 76 kg の人に対する推定平均必要量といえるため、成人の参照値とした。

以上より、成人の性及び年齢階級別推定平均必要量は、参照値から、体重 76 kg と性及び年齢階級別の基準体重に基づき、体重比の 0. 75 乗を用いて外挿した。推奨量は、推定平均必要量に推奨量算定係数 1. 2 を乗じて算出した。