前立腺炎とは、前立腺に炎症を起こした状態を言います。

問診や検尿、前立腺触診(肛門から指を入れ、直腸を通して前立腺の大きさや硬さ、表面の状態、圧迫痛などを調べる検査)によって炎症状態を調べます。超音波検査や血液検査が必要になるケースもあります。

急性前立腺炎と慢性前立腺炎がありますが、これらは症状や経過が大きく異なります。

慢性前立腺炎

あまり知られていない病名ですが、罹患されている男性は多く、すでに治療 中でなかなか良くならず悩んでおられる方も多いと思われます。

命に関 わる病態ではありませんが、ご本人にとっては深刻な症状であることも珍しく ありません。大病院ではまともに取り合ってもらえませんが、泌尿器科開業医 の間では大変重要な疾患です。

20歳以上の男性に多く見られ、睾丸、陰嚢、鼠径部、下腹部、尿道、会陰部 、肛門周囲などに違和感や鈍痛などが起こります。原因としては感染症のほか 自転車やバイク、車の運転などで長時間の会陰部の圧迫が原因であることもあ ります。

教科書的には慢性細菌性前立腺炎、慢性非細菌性前立腺炎、無症候性炎症性 前立腺炎などに分類されますが、女性にも慢性骨盤痛症候群という似たような 病態の存在が知られています。

診断は問診の他、検尿、前立腺分泌液の検鏡、直腸診などで総合的に判断します。

治療には抗生剤の投与を行いますが、比較的長期の服用が必要になります。なぜなら前立腺は抗生物質が届きにくい臓器であるからです。またセルニルト ンという植物製剤を併用したりします。また前立腺内に老廃物や白血球が分泌したサイトカインを含んだ体液が症状を起こしている可能性があり、頻回の射 精を指導したり、前立腺のマッサージを行ったりします。治療には比較的長期間を有しますが、一生続くわけではありません。

信頼できる主治医とともにテ ーラーメイドした治療を2人3脚で進めることが肝要です。

急性前立腺炎

慢性前立腺炎とは明らかに異なる細菌感染による疾患です。排尿時痛ととも に発熱、悪寒などが認められます。急性膀胱炎とは比較にならないほど臨床的 インパクトがあり、早期に適切な治療をしないと、短時間で重症化に至り、敗血症など命に関わる重症に移行する危険があります。風邪のような感覚で自己判断をして様子を見てしまうことがあり、重症化の一因と成っています。

発熱があまり無い場合は抗生物質の内服で治癒することがありますが、多く の場合点滴による抗生物質が必要で、入院管理が望ましい場合も少なくありません。

また通常の抗生物質に耐性を獲得した大腸菌が原因となることがあり、その場合はタイミングを逸することなく、強力な抗生物質に変更しないといけません。自分ではそれほど重症感がなくても泌尿器科専門医の主治医の指示をしっかり聞いて従うことをお勧めします。